家は人生で一番大きな買い物とも言われるほど高額な商品のため、成約にはかなり慎重になります。また、工務店との成約までに「家の購入を検討する」「理想とする家のイメージを固める」「工務店の情報を集める」「工務店を比較検討する」など多くのフェーズがあるため、各フェーズで適切な施策を実施し、見込み顧客との信頼関係をいかに築けるかが重要になってきます。
気軽に購入できない高額な商品やサービスを扱う工務店だからこそ、まずは自社に興味を持ってもらい、そこから成約につなげるためのマーケティング戦略が必要になってくるのです。
マーケティング戦略を立てるうえで、まずは以下の項目をもとに自社がこれまで実施した施策を振り返ってみましょう。
これまでの取り組みを成果とともに振り返ることで、自社ならではの強みや改善すべき点が見えてくるはずです。現在の見込み顧客や既存顧客の層も確認したら、次のステップへと進んでいきます。
パソコンやスマートフォンなどの普及により、インターネットで気軽に工務店の情報を収集できるようになりました。顧客の信頼を獲得して自社を選んでもらうには「安い」「性能が良い」だけでは不十分で、施工技術の独自性やデザインの特色など特定の価値・魅力を提供する工務店として競合との差別化を図る必要があります。
差別化戦略をマーケティングに取り入れるためにも、現状分析で把握した自社ならではの強みとターゲットをもとにコンセプトを決めましょう。
コンセプトが決まったら、次は具体的な施策を検討します。
マーケティング戦略の施策は、主にオンライン施策とオフライン施策の2つ。オンライン施策はインターネットを使って行う施策で、エリアを限定せずに多くの人に訴求したい場合に適しています。エリアを限定してターゲット層に伝えたい情報を確実に届けたい場合は、オフライン施策を検討すると良いでしょう。
どちらの施策を実行するにしても、PDCAサイクルを回すことを忘れず、ブラッシュアップしながら取り組んでいくことが大切です。
3C分析とは「顧客(Customer)」「競合他社(Competitor)」「自社(Company)」の3つの軸をもとに、自社をとりまく市場環境を分析する手法です。3C分析では、マーケティング戦略の策定に必要となる以下の情報を収集します。
環境分析によって自社の対外的・内在的な強みと弱みを把握し、今後の方向性を決定することが3C分析の目的となります。競合他社との比較により自社の市場競争力を再認識でき、商品・サービスの改善点の発見につなげることが可能。また、顧客がどのような商品・サービスを求めているのかを理解することで、集客や成約につなげるためのサービスの改善・商品開発に役立てられます。
SWOT分析は「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の項目をもとに、自社の内部環境と外部環境のプラス面・マイナス面を洗い出す手法です。自社や事業の現状を把握するのに役立ち、3C分析の結果と統合したうえでSTP分析につなげるのがより効果的とされています。
STP分析は、「セグメンテーション(セグメンテーション)」「ターゲティング(Targeting)」「ポジショニング(Positioning)」の3つの工程からなる分析手法です。主に新しい商品やサービスを世に出すにあたって、マーケティング戦略の土台を立案するのに活用されます。
STP分析を行う目的は、市場を細分化して自社が狙うべき市場やターゲット層を明確にし、市場における自社のポジションや強みを決めることです。STP分析によって市場における自社の立ち位置を明確にし、自社の優位性や強みが伝わるマーケティング活動を行うことによって、ターゲット層に効果的にアプローチできるメリットがあります。
マーケティング戦略を考える際、新しいことに手を出したくなるもの。ただ、新しい取り組みは成功率が低いため、まずは現在取り組んでいることを見直して改善するのがおすすめです。集客につながっている取り組みを見直して改善することで、入り口が強化されて集客効果をより高めることができます。
過去の取り組みで集客がうまくいかなかったとしても、その失敗もマーケティング戦略を考えるうえで貴重なデータとなります。新しいことにイチから取り組む前に、現在の取り組みや過去の失敗を見直し、改善できるポイントがないかを検討してみましょう。
マーケティング戦略を考えるにあたり、広告費に現在いくら使っているのかを把握する必要があります。そのうえで、売上の何%を広告費にかけているのかを見直しましょう。売上に対して広告をかけすぎている場合、当然ながら工務店の利益が減ります。逆に広告費が少ないと、自社の存在や取り組みを認知してもらえず、機会損失につながるので注意が必要です。
売上に対してかけてもいい広告費の目安は、以下の計算式で算出できます。
広告費の目安(しきい値)=昨年の年商÷顧客数×昨年の平均粗利率×昨年の成約率
広告費をいくらかければ利益につながるのかは工務店によって異なりますが、上記の計算式で算出した数値を参考にしながら、広告費にいくらかけるべきか検討してみてください。
ここでは、出展後にユーザーデータをはじめとする情報を取得できると公式サイトに明記されているバーチャル展示場を課題別に紹介します。
特徴
特徴
特徴
※選定条件
2023年5月18日Googleで「バーチャル展示場」「バーチャル住宅展示場」「VR展示場」「バーチャルモデルハウス」「メタバース住宅展示場」と検索して、バーチャル展示場のプラットフォームを提供している32社のうち、取得できるデータやレポートについて明記している会社は3社のみでした。それぞれの会社をマーケティングに関するサービスの特徴別に紹介します。
LIVRA WORLD:より精度の高いリアルタイムでのユーザーデータを取得できるという特徴から紹介(取得可能データ:顧客情報、各社掲載ページの行動ログ、VRモデルハウスの全体の行動ログ)
MY HOME MARKET:コンセプト考案などの住宅商品開発の支援など、出展前の相談にも対応しているという特徴から紹介(取得可能データ:全体のサイト動向、各社月次レポート)
工務店のメタバース住宅展示場:出展後の運用をすべて委託できるという特徴から紹介(取得可能データ:毎月の運用結果)
(※2023年7月編集チーム調査時点)