工務店にとって、イベントは顧客獲得のチャンスであり、既存顧客へのアプローチができる貴重な機会です。工務店は近年の人材不足や業務時間の問題で、顧客への細かなアフターフォローや予約なしの相談対応は難しい場合があります。一方、顧客側でも良いと思っている工務店をもっと情報を得たいと思うものの、時間が取れない方も少なくありません。
工務店側に負担をかけないよう、急な来店や軽い気持ちでの相談を避ける顧客がほとんどであり、対面でのマーケティング・集客は現状困難。そのため、なかなか接点を生むことが難しいのですが、イベントであれば顧客側も気軽に参加でき、見込み顧客へのアプローチのチャンスが生まれます。
イベントを開催することで、興味をもって足を運んでくれる新規顧客の獲得が見込めます。それまで直接的な接点が無くても、公式サイトやSNSを等を見て気になった顧客が「イベントなら」と足を運んでくれることも。
工務店の存在を知らない方でも、イベントが開催されていることで興味を持ってくれるパターンがあります。
また、それまでマイホームに興味を持っていなくても、イベントを通して工務店、ひいてはマイホームそのものに興味を持つ方もいます。
イベントでは、マイホームを検討しており、どの業者に選ぶべきかを検討している見込み客に対してのアプローチも可能です。
マイホームの購入を考えている方は購入意欲がかなり高く、イベントにも積極的に参加し、理想のマイホームを任せられる業者を探しています。家を建てたいと検討している多くの「見込み客」と多くの接点を持つことで、自社の強み・魅力をアプローチでき、契約にもつながりやすくなるでしょう。
イベントでの集客は成約率だけではなく、顧客1人あたりの利益率を向上させるためにも重要です。基本的に「マイホームに興味を持っているお客」を対象にするため、従来の認知拡大を同時に行う宣伝・広告と比較すると、成約率の向上が見込めます。
通常営業時であれば、顧客に合わせてその都度時間を作り、資料を作成して説明を行います。しかしイベント時はいくつかのフォーマットを用意して、多くの顧客を対応します。結果、業務を効率化して一人ひとりに時間を割けるため、コストパフォーマンスが高まります。
地元のお祭りや縁日は、地域住民に工務店・ハウスメーカーを認知してもらう絶好の機会。好印象を得てもらい、住宅の購入を考えた時に相談先として思い浮かべてもらうことを狙えます。地域密着型で活動している会社にピッタリ。地域行事を大切にする姿勢は親しみやすさや信頼感の向上に繋がります。あくまで認知度アップが目的のため、参加する際は相談ブースを作る程度でOK。お祭りを楽しみたいという人が来ているため、無理に売り込まず、お祭りを盛り上げるほうに力を入れましょう。
子ども向けの工作教室は、ファミリー層の集客に高い効果を期待できるイベントの一つ。とくに夏休み時期は「自由研究を終わらせられる」という理由で子どもが集まりやすく、子どもが大人を連れてきてくれます。工作を通して使用している木材の良さや職人の技術力をアピール可能。工務店のスタッフと交流を持ってもらうことで、信頼感や親しみやすさの向上にも繋がります。合間にちょっとした資料を作成し、会社の取り組みを説明する方法もあるでしょう。廃棄予定の材料を利用すれば、会社としても廃棄物を減らせてエコになり、メリットの多いイベントです。
集客イベントとして真っ先に思い浮かぶのが、モデルハウスや完成見学会でしょう。契約する前に見学会に参加する人は多く、工務店の売上は見学会の開催回数に比例する、と言われることもあります。
実際の住宅内部やデザイン、雰囲気を体感できるため、住宅購入後の生活をイメージしてもらいやすいのが特徴。購買意欲の高い人の参加が多いため、契約も期待できます。
しかし、見学者はいくつかの工務店を比較検討していることがほとんどで、競合他社との競争が激しい面も。好印象を与え、契約してもらうための工夫・計画的なアプローチが必要です。
「家は欲しいけど、まだ準備が整っていない」という人に効果的にアプローチできるイベントです。大きな車やバスを用意し、複数の顧客に対し土地や物件を紹介します。家を建てる際に土地から探す顧客は意外と多いもの。すぐの契約には至らないことも多いですが、将来的に顧客を獲得するために有効です。
ツアー形式で開催するため、車内で参加者とコミュニケーションを取り、親睦を深められるのも大きなメリット。好印象を持ってもらえれば、「家づくりに困った時にまずは相談してみよう」と頼りにしてもらえます。
住宅の性能面に力を入れている工務店に向いているのが、宿泊体験会です。モデルハウスに宿泊してもらい、室内の暖かさ、静かさ、壁や床の触り心地などより細かな住宅の特徴を体感してもらうもの。見学会よりも住宅購入後の生活をリアルにイメージしてもらえるのが利点です。
1日に1組しか案内できないため、一般的なモデルハウスよりも営業効率は低め。新規顧客の開拓よりは、成約率のアップに効果が期待できます。ある程度契約の温度感が高まっている顧客に対し、最後の一押しのように使うと有効でしょう。
家づくりは一生にそう何度も経験しない大きな買い物。わからないことも多く、工務店やハウスメーカーと契約する前に知りたいことがたくさんあります。そんな顧客に有効にアプローチできるのが、家づくりに関するセミナーや勉強会。契約までの流れや住宅周りの基礎知識を伝えることで、顧客の疑問が解消されやすく、契約の段階へスムーズに移行できます。定期的な接触機会を設けられるため、関係性の構築に有効。セミナーの中で自社のこだわりを盛り込めば、一般的な工務店との違いを効果的に発信する場にもなるでしょう。
住宅を購入する際に多くの方がぶつかるのが、お金の問題です。ほとんどの方は住宅ローンを組むことになるため、どれだけのローンを組めるのか、返済に無理はないのか、専門的なサポートを受けられる場があると興味を持ってもらいやすいでしょう。FPや金融機関と連携して、顧客のライフプラン設計をフォローする相談会の開催が有効。住宅ローンの借入額が決まると住宅購入の予算が決まるため、具体的な契約の話をしやすくなるのも利点です。
住宅の柱や建具に利用している木の苗を、顧客と一緒に植えるイベントです。イベントを通して素材へのこだわりや環境問題への配慮をアピールでき、好印象を与えられます。イベントを通してコミュニケーションをとることで、工務店に対する信頼感や親しみやすさも高められるでしょう。
また、植樹会と似たイベントで大黒柱に使う木を伐採するイベントもあります。木を伐採する際、「契約された場合はこの木が大黒柱になります」と伝えると多くの契約が期待できるとか。
自分が植えたり伐採したりした木が家の一部になると考えると特別感が生まれるため、他会社と差をつけられる点も特徴です。
OB会・OB訪問はアフターフォローに効果的なイベント。工務店で家を建てたOBを対象に、住んだ後の不安を相談したり、交流を図れる機会を提供します。既存顧客の不安を汲み取ることで、設備の不具合や新調の際に頼ってもらえたり、リフォーム工事の契約に繋がったり、継続的な案件の創出に繋がるのがメリット。顧客同士の横の繋がりが生まれることで、より強固な関係性も築けます。また、建設後も丁寧にフォローしてくれる工務店であるという評判が広がれば、新規顧客の増大も期待できるでしょう。既存顧客からの紹介にも繋がるかもしれません。
住宅は住んでいるうちに劣化するもの。補修や設備の刷新、ライフスタイルの変化に伴う間取りの変更など、リフォームの要望がほぼ確実に発生します。まず真っ先に浮かぶ相談相手が住宅を建てた工務店・ハウスメーカーになるため、気軽に相談できる場所を作っておくのがおすすめです。
屋根や外壁のメンテナンス周期に合わせてメルマガやDMを送れば、強引にならない程度にニーズを拾い上げられるでしょう。相談会の際も親身に悩みを聞き、あくまで客観的な立場からのアドバイスをすると、成約に繋がりやすくなります。
オンラインイベントは全国の顧客にアプローチでき、場所の制限なく開催できるのが魅力です。まだ住宅購入の温度感が高くない顧客にとっては、オフラインの見学会・相談会イベントへの参加はハードルが高め。自宅から気軽に参加できるオフラインイベントであれば、より多くの顧客に参加してもらえる可能性があります。
実際、オンライン見学会や展示会、相談会、バーチャルモデルハウス、ウェビナーなどを開催している工務店も。入り口のハードルを下げて気軽に工務店のことを知ってもらい、少しずつ関係性を築くことで契約に繋がる可能性は十分にあります。
完成した建物の映像を閲覧できるオンライン見学会は、自社がどのようなマイホームを建てるのかをイメージしてもらいやすいイベントです。
映像を見せるだけではなく、顧客の意志でマイホーム内を移動できるVRシステムであれば、実際に足を運んで見学しているかのような感覚で内見が可能。間取り図・設計図だけでは見えない細かい部分のアピールにも繋がります。
マイホームに関する知識を深めてもらう機会として設定しやすいのが、勉強会やセミナーなどのイベントです。住宅を建てるためには知っておくべきことが多々ありますが、初めて建てる場合は知識不足なケースがほとんど。
初心者でも不安なくマイホームを建てられるように、住宅に関する勉強会やセミナーを開催することで、知識の提供だけでなく信頼関係の構築に繋がります。
対面相談もまた、勉強会やセミナーと同じように顧客との信頼関係構築が可能なイベントです。勉強会やセミナーはあらかじめ決まったテーマで行われますが、対面相談の場合、顧客の独自の悩みに応えることが可能です。
一般的な知識や会社としての考え方を伝える勉強会やセミナーに対し、対面相談は顧客の個別の悩みに寄り添い提案してくれることから、顧客にとっても貴重な時間となります。
オンラインイベントの選択肢の一つにバーチャル展示場が挙げられます。バーチャル展示場(VR展示場)は、展示場をバーチャル空間に作り出すシステム。制限があるケースも一部ありますが、参加者は展示物があるオンライン空間を自由に動くことができます。
まるでオフラインイベントに参加しているような感覚をオンライン上で体験できるのが大きなメリット。オンラインイベントでの集客を検討しているのであれば、顧客に自由な体験を与えるバーチャル展示場を検討するのも一つの手です。
顧客名簿を整理・用意しておくことで、イベント時の対応をスピーディーにできます。待ち時間を作らないことで顧客に好印象を与えるだけでなく、契約の機会損失を防ぎます。
名簿には名前以外にも、それまでの接点から得られた情報をまとめておくことで、イベントに参加した際に一歩踏み込んだ親身な対応が可能になります。
イベントは一度だけで終えるのではなく、季節ごと・年度ごとで開催しましょう。定期的に開催することで、参加者との接触機会が増えます。
イベントに一度参加しただけでは、適した工務店なのか見込み客も判断できません。しかし定期的にイベントを開催し、参加してもらうことで自社への理解を深めてもらえます。何度も参加している顧客がいれば、自社に好印象を持っている、成約までもう一歩だと判断する材料にもなるでしょう。
顧客にはイベントに参加したうえで、マイホームを建てる業者として選んでもらう必要があります。
どれだけ内容にこだわりを持ってイベントを開催しても、参加者がいなければ成約する可能性はゼロです。多くの人に参加してもらうためには、事前告知にも力を入れましょう。公式ホームページだけではなく、拡散されやすいSNSの有効活用がポイントです。
イベントは参加を通して自社の魅力を知ってもらうこと、ひいては成約が目的です。つまり、イベントはきっかけづくりの一つといえるでしょう。
そのため、イベント終了後の追客は重要です。イベントの感想や次回開催してほしい内容を聞くことで、イベントを題材に顧客との距離を詰めるチャンスと考えてください。イベントでの成果だけでなく、その後の追客もセットだと考えておきましょう。
ここでは、出展後にユーザーデータをはじめとする情報を取得できると公式サイトに明記されているバーチャル展示場を課題別に紹介します。
特徴
特徴
特徴
※選定条件
2023年5月18日Googleで「バーチャル展示場」「バーチャル住宅展示場」「VR展示場」「バーチャルモデルハウス」「メタバース住宅展示場」と検索して、バーチャル展示場のプラットフォームを提供している32社のうち、取得できるデータやレポートについて明記している会社は3社のみでした。それぞれの会社をマーケティングに関するサービスの特徴別に紹介します。
LIVRA WORLD:より精度の高いリアルタイムでのユーザーデータを取得できるという特徴から紹介(取得可能データ:顧客情報、各社掲載ページの行動ログ、VRモデルハウスの全体の行動ログ)
MY HOME MARKET:コンセプト考案などの住宅商品開発の支援など、出展前の相談にも対応しているという特徴から紹介(取得可能データ:全体のサイト動向、各社月次レポート)
工務店のメタバース住宅展示場:出展後の運用をすべて委託できるという特徴から紹介(取得可能データ:毎月の運用結果)
(※2023年7月編集チーム調査時点)