家づくりを検討している方にとって、「どんな家に住みたいか」をイメージするのは意外と難しいものです。図面や間取りを見ただけでは、実際の広さや雰囲気がなかなか伝わりません。そんなときに役立つのが、ルームツアー動画です。
ルームツアー動画は、モデルハウスや実際の施工事例を動画で案内しながら紹介するもので、暮らしのリアルなイメージを伝えるのにぴったり。SNSやYouTubeなどで手軽に見てもらえることから、工務店や住宅メーカーにとっても集客につながる強力なツールとなっています。
この記事では、ルームツアー動画のメリットから、上手に撮影するためのコツまでをわかりやすくご紹介します。
ルームツアー動画とは、住宅の内部を実際に案内するように紹介する動画のことです。モデルハウスや完成済みの住宅にカメラを持ち込み、案内役が空間を歩きながら、間取りや設備、暮らしのイメージなどを丁寧に伝えていきます。
多くの場合、YouTubeやInstagramなどのSNSで発信されており、集客やブランディングの手段としても注目されています。
ルームツアー動画の魅力は、単なる間取り紹介ではなく、「この家で暮らしたらどんな感じか?」という体験に近い情報を視聴者に届けられる点です。
といったように、写真や図面では伝わりづらい部分を、動きと音声で自然に伝えることができます。
案内役には、住宅会社の担当者や施主さん自身が登場することもあり、その人柄やエピソードも動画の魅力を高めるポイントになります。
まるで現地で案内してもらっているような安心感があるため、実際の見学予約や問い合わせにつながりやすいという特徴もあります。
ルームツアー動画は、ただ家を映すだけの映像ではありません。「伝えたいこと」と「見たいこと」が自然に一致しやすいため、住宅会社と視聴者、どちらにとってもメリットの大きいツールです。
具体的にルームツアー動画を作成するメリットを見ていきましょう。
写真や図面だけでは、部屋の広がりや高さ、窓からの光の入り方、生活動線などをリアルに伝えるのは難しいものです。ルームツアー動画なら、カメラの動きや映像の奥行きによって、「体感的な広さ」や「暮らしの流れ」が直感的に伝わります。
「リビングからキッチンまで、どれくらいの距離感があるか」「階段の位置はどうか」といった細かい動線も、実際に歩いているような感覚で確認できます。
ナレーションや会話を通して家の魅力を語ることで、視聴者に「自分が住んだらどうなるか?」という想像を促しやすくなります。
たとえば、「子ども部屋はこの位置なので、家族の声が届きやすくて安心ですね」「キッチンにはパントリーがあるので、まとめ買いしたものもスッキリ収納できそうです」いった説明があれば、日常の暮らしが自然と目に浮かびます。こうした共感を引き出す語りかけが、動画の中での印象を強めてくれるでしょう。
住宅会社としては、「なぜこの間取りにしたのか」「どんな工夫をしたのか」といったポイントをしっかり伝えたいところ。ルームツアー動画なら、視覚的に空間を見せながら説明できるため、押しつけがましくなく、自然に提案力を伝えることができます。
たとえば、収納の配置や容量の工夫、子育て世代向けの生活動線、素材選びやデザインのポイント…など、「見て、聞いて、納得」という流れを作れるのが、動画ならではの強みです。
実際に撮影を行う際に意識しておきたいポイントを紹介します。
まず大切なのは、撮影を始める前にルートをしっかりと決めておくことです。どの部屋から案内を始め、どの順番で回っていくかを事前に整理しておくことで、現場での迷いや撮影のブレを防ぐことができます。
ルートが決まっていないと、話の流れや動線に一貫性がなくなってしまい、視聴者が混乱する原因にもなります。撮影時に「次はどこだっけ?」と止まってしまわないよう、オープニングからエンディングまでの流れをあらかじめ頭の中でリハーサルしておくと安心です。
案内の中で「広いですね」「きれいなキッチンです」といった主観的な表現を使うのは自然なことですが、それだけでは視聴者に十分な情報が伝わりません。たとえば「リビングは18帖もあります」「天井高は2.6メートルで、開放感たっぷりですね」など、具体的な数字を添えるだけで、視聴者は空間のスケールをよりリアルにイメージできます。
また、「この床は無垢のオーク材を使っています」「断熱材にはセルロースファイバーを採用しています」といった説明も、設計のこだわりや性能への信頼感につながります。視聴者は“自分がその家で暮らすことを想像したい”という気持ちで見ているので、印象とともに具体性のある情報を届けることがとても大切です。
家の印象を大きく左右するのが「光の入り方」です。撮影時には、すべての部屋の照明が点灯するかを事前に確認しておくと安心です。収納の中やキッチンのレンジフードなど、うっかり見落としがちな照明にも気を配ると、細部まで明るく美しく映せます。
できれば撮影は晴天の日を選び、午前中や午後の早い時間など、自然光がしっかり入る時間帯に行うのが理想です。どうしても天気に恵まれない場合は、別の日に外観写真を撮っておいたり、晴れた日の素材を挿入したりする工夫で、全体の印象を明るく保つことができます。
ルームツアー動画では、なるべくカットを入れずに一本の流れで撮影するほうが、映像に自然なテンポが生まれます。こまかくカットを入れてしまうと、見ている人にとってはちぐはぐに感じられることがあり、案内役の話し方も一貫性を欠いてしまいがちです。
とはいえ完全なノーカットで撮るのが難しい場面もあるため、撮影の途中で軽く立ち止まって区切りをつけたり、話のテンションが自然に保てるタイミングを見計らって進行すると、リズムを崩さず自然な動画になります。
案内に沿って撮影する映像に加えて、必要に応じて別の角度やアップのカットを撮っておくと、動画の完成度がぐっと高まります。たとえばキッチンの水まわり、壁の素材、収納内部など、見せたい部分を細かく丁寧に映しておくと、編集時に組み合わせやすくなります。
視聴者の多くは、動画から「住まいのリアルな情報」を得たいと考えているため、こうした補足カットがあるだけで印象が大きく変わります。結果的に動画の満足度が上がり、再生回数や問い合わせにもつながっていきます。
案内をする人とカメラを担当する人がそれぞれの役割に集中していると、映像のテンポやアングルにズレが生じやすくなります。だからこそ、撮影前にお互いの動きや「どこを重点的に映すか」といったポイントを共有しておくことがとても大切です。
たとえば「このキッチンの収納は寄りで映してほしい」「ここは案内役の表情を映して伝えたい」といった細かいやりとりをすり合わせておくだけで、仕上がりのクオリティが格段に変わります。撮影前のちょっとした打ち合わせが、動画の“見やすさ”や“伝わりやすさ”を左右します。
ルームツアー動画の最初と最後は、視聴者の記憶に強く残る重要な部分です。オープニングとエンディングの撮影場所はあらかじめ決めておくことで、案内の流れに迷いがなくなりますし、全体の構成にもまとまりが出ます。
玄関の外やリビングの一角など、雰囲気のよい場所を背景に選ぶことで、最初の印象を良くし、最後まで見てもらいやすくなります。「最後に一言、家のポイントをまとめてからお別れ」といった形で締めくくると、自然で印象的な動画に仕上がります。
ルームツアー動画の撮影では、当日のトラブルや抜け漏れを防ぐために、事前にチェックリストを用意しておくと安心です。たとえば照明の確認、マイクのテスト、カメラのバッテリー残量、収納内の清掃状態など、細かい部分まで一つずつ確認できるようにしておくと、撮影当日の段取りもスムーズになります。
特にルームツアーは“歩きながら撮る”スタイルが多いため、何かが起きるとやり直しがききにくいこともあります。だからこそ、準備段階での「見落とし防止」が動画の安定感につながります。
案内の中で伝えきれなかった情報や、あとから視聴者に補足したいことがある場合は、ナレーションや字幕を上手に活用するのも有効です。たとえば「この窓はLow-E複層ガラスで、断熱性に優れています」といった補足を字幕で表示するだけで、視聴者の理解度は格段に上がります。
話している内容と補足の情報がうまくかみ合えば、説明がより立体的になり、説得力のある動画に仕上がります。小さな工夫ですが、見ている人の“満足感”に直結するポイントです。
ルームツアー動画は、単体でも魅力的なコンテンツですが、SNSやWebサイトと組み合わせることで、より強い集客効果が期待できます。せっかく手間をかけて作成した動画も、見て終わりではもったいないのもの。たとえば、動画の説明欄に、施工事例ページや来場予約ページのリンクを掲載しておけば、興味を持った方がそのまま行動に移しやすくなります。
また、会社のWebサイト内でルームツアー動画を活用するのも効果的です。施工事例ページに動画を埋め込めば、写真だけでは伝わりにくい空間の広さや雰囲気を補足できます。特に「家にいながら見学できる」というメリットは、忙しい方や遠方の方にとっても嬉しいポイントです。
ルームツアー動画と特に相性が良いのが「バーチャル展示場」です。
実際のモデルハウスに足を運ばなくても、パソコンやスマートフォンから自由に見学できるバーチャル展示場は、ユーザーの「もっとじっくり見たい」という気持ちに応える次のステップになります。
ルームツアー動画で興味を持った方に対して、「もっと詳しく見たい方はこちら」と案内することで、動画視聴→バーチャル見学→問い合わせ…という自然な導線がつくれます。
さらに、バーチャル展示場は24時間365日いつでもアクセスできるため、日中に時間がとれない方や、まだ本格的に検討していない段階の方にも気軽にアプローチが可能です。実際のモデルハウスと違って、時間や天候に左右されることもなく、ユーザーの“気になるタイミング”を逃しません。
ここでは、出展後にユーザーデータをはじめとする情報を取得できると公式サイトに明記されているバーチャル展示場を課題別に紹介します。
特徴
特徴
特徴
※選定条件
2023年5月18日Googleで「バーチャル展示場」「バーチャル住宅展示場」「VR展示場」「バーチャルモデルハウス」「メタバース住宅展示場」と検索して、バーチャル展示場のプラットフォームを提供している32社のうち、取得できるデータやレポートについて明記している会社は3社のみでした。それぞれの会社をマーケティングに関するサービスの特徴別に紹介します。
LIVRA WORLD:より精度の高いリアルタイムでのユーザーデータを取得できるという特徴から紹介(取得可能データ:顧客情報、各社掲載ページの行動ログ、VRモデルハウスの全体の行動ログ)
MY HOME MARKET:コンセプト考案などの住宅商品開発の支援など、出展前の相談にも対応しているという特徴から紹介(取得可能データ:全体のサイト動向、各社月次レポート)
工務店のメタバース住宅展示場:出展後の運用をすべて委託できるという特徴から紹介(取得可能データ:毎月の運用結果)
(※2023年7月編集チーム調査時点)